カルチュラル・ニュース2009年5月号の要約


◎クラーク日本美術・文化研究センター(中部カリフォルニア・ハンフォード)の夏の展示企画 「日本的な美:魅惑、退廃、好色、怪奇」524日から8月1日まで (P1P2P5

 

展示の説明=世界的に知られている浮世絵は、江戸で作られ大衆向けに販売された絵で、描かれている内容は平面的で、ステレオタイプの構図が多い。江戸時代、京都で描かれた日本画は、富裕層のパトロンの注文で制作されており、内容は、魅惑、退廃、好色、怪奇と、人間のもつあらゆる様相や感情が対象になっている。

 

クラーク・センター夏の展示では、これまで、海外ではほとんど紹介されていない、こうした京都で制作された江戸時代後期の日本画30点が、並べられる。作家では、祇園井特(ぎおん・せいとく、17811829)と三畠上龍(1830年代)の作品が中心に、なっている。このほか、柴田是真(しばた・ぜしん、18701891)河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい・18311889)月岡芳年(1839-1892)が描いた幽霊の絵も展示される。

 

三畠上龍(みはた・じょうりゅう)作の「娘と子供図」(1ページの日本画)=絹本著色、双幅、19世紀半ばの制作=三畠上龍は天保期(183044)ころ、京都で活躍した肉筆美人画の絵師として知られている。荒く勢いのある奔走な描線を特徴とする独特の個性を持つ絵師で、一人立ちの美人を描いた掛軸作品を多く残している。

 

この図は異色の題材で、立美人図に、円窓から目を広げ見て外に向かっている少年の図が取り合わせられた双幅である。桜樹の前で風に吹かれる裾を気にしながら立つ娘の姿は、典型的な上龍らしい画風を示しており、大胆でやや煩雑な衣裳線や彩色にその強い個性を見ることができるであろう。

 

一方梅樹の側の円窓からのぞく少年は、指で目を広げて血走る眼球をあらわにし、歯をむき出して口を大きく開けた様子がたいへん奇異であり、他の上龍作品どころか浮世絵の題材全般にも思い当たらない内容でもあるので、何か特殊な注文によって制作されたものと想像される。

 

クラーク・センター=この展示「日本的な美」の企画は、同センターのアシスタント学芸員の田中圭子さんによる。田中さんは、ロンドン大学で修士号を得たのち、立命館大学で博士号を取得している。日本画のほかに、人形やおもちゃについても研究している。

 

カルチュラル・ニュース・バス・ツアー718日(土):午前830分、リトル東京・京都グランド・ホテル前を出発:午前9時、ウエストウッド経由:12-3時、クラーク・センター:午後630分、ウエストウッド:午後7時、リトル東京。バス代=55ドル、入館料(ギャラリー内解説費を含む)=8ドル。申込は info@culturalnews.com(213) 819-4100 へ。定員25人、先着順。

 

◎バウアー・ミュージアムの「サムライの宝物展」=戦(いくさ)の時代と平穏な暮らしの時代に見る日本美術(東洋美術専門家・メーヤー・マッカーサーの記事、P1,P4

 

バウアー・ミュージアムで始まっている「東京国立博物館の所蔵品:侍の宝物展」は、国宝や重要文化財を含む81点が展示されている。展示期間は6月14日まで。

 

展示されている国宝は、鎌倉時代中期(13世紀)の備前の刀工・助真(すけざね)が作った刀。江戸時代に紀州徳川家に納められ、伝えられてきた。鞘は19世紀に作られており、徳川家の家紋が彫りこまれている。

 

戦(いくさ)の時代に使われた道具の展示では、刀のほか、鎧、陣羽織が出展されている。戦のなかった江戸時代に武士が使っていた道具として、武士階級の間で発達した茶器や能装束などが出展されている。

 

カルチュラル・ニュース見学会=5月31日(日)午後1時から、日本美術コレクターのプライス悦子さんといっしょに「サムライの宝物展」を見学します。参加費は9ドル(入館料を含む)。申し込みは info@culturalnews.comまたは電話 (213)819-4100へ。人数に限りがあります。先着順。プライス悦子さんは夫のジョー・プライス氏と供に「プライス・コレクション」と呼ばれる国立博物館所蔵レベルの日本画を300点以上、収集しています。バウアー・ミュージアムの「サムライ」展にも、プライス・コレクションから「義経物語」の大型屏風が貸し出されています。

 

◎バウアー・ミュージアムの「サムライの宝物展」のオープニング・イベントに江戸千家の副家元・川上紹雪氏が講演 (P1,4,7)

 

◎カリフォルニア州立大学ロングビーチ校の日本人学生による「スナゴケ」の耐久性を調べるプロジェクト(P2

 

◎ロサンゼルスの日米文化会館で、ガーデン・ボランティアを募集する(P2)

 

◎映画「おくりびと」(英語名:ディパーチャーズ=旅立ち)が全米で。529日から一般公開へ(P3

 

◎南カリフォルニアの浄土真宗の盆踊り日程の一覧(P3

 

◎沖縄県人会芸能部の恒例発表会「うたやびら・うどやびら=歌いましょう・踊りましょう」が524日、トーレンスのアームストロング劇場で(P3

 

◎文化財漆修復家、山下好彦氏の講演会がゲティー・センターで、5月23日(P3

 

ロンドンのビクトリア&アルバート・ミュージアムに所属される17世紀初頭に京都で製作された漆塗りの衣裳箱は、所有者の名前から「マゼラン・チェスト」と呼ばれている。装飾は「源氏物語」をモチーフにした豪華な作り。しかし、マゼランチェストは損傷が著しいことから幾度となく修復の必要が言われてきた。数年前、ゲティー財団、東芝文化財団、国際交流基金の援助で修復がロンドンで行なわれて、マゼランチェストは、2008年に日本で里帰り展示が行なわれ、524日までゲティー・センターで展示されている。

 

5月23日午後4時からゲティー・センター・レクチャーホールで、この修復を担当した文化財漆修復家、山下好彦氏の講演会が行なわれる。入場は無料だ、予約が必要。電話 (310) 440-7300へ。

 

◎ニベイ・ファンデーションの5月のジャパン・スタディー・クラブは小倉祇園太鼓について講演と実演、519日に(P3

 

◎3月にロングビーチで行なわれた「海外の日本庭園についての国際会議」の要約と参加者からの感想文(P5

 

◎合気道センター・オブ・ロサンゼルスの設立者、古屋顕正先生の急逝から2年目にあたり、古屋先生の歩みをふり返る(居合道の師範、ゲーリー・マイヤーによるエッセー)(P6